随想・雑感 時代的価値と財団の意義

時代的価値と財団の意義

前代表理事・理事長 清水 洋史

地球環境悪化とともに、SDGsに向けた活動が社会に求められている中、(公財)不二たん白質研究振興財団の前身である1979年に設立された「大豆たん白栄養研究会」から一貫して、大豆を中心とする植物たん白の研究とそれを支えた社会貢献の信念が、益々評価される時代となっています。

社会的な需要と課題があっても、研究者における地道な研究成果がなければ解決策には至らないわけで、改めて当財団の意義と意味を確認できるものと思います。また、これからの世界におけるサスティナブルな食を考える対策の一つとして、より一層の努力と成果が期待されていることは言うまでもありません。当財団は社会の変化とともにその社会的な意味を深めていると確信するものです。

不二製油グループ本社株式会社の社長就任以来、理事長を務めてまいりましたが、理事、評議員、選考委員の先生方や事務局、不二製油株式会社の社員、関係各官庁、全国の大学、研究機関のご支援ご協力で43年にわたる伝統ある財団の8年を務めさせていただくことができました。心より感謝申し上げます。

「不二」という言葉は、一見違う概念に見えますが、大いに関係しているという意味があります。「二つ無いような技術を持った良い会社」という意味だけではなく(無ではなく不)、「身土不二」や「自他不二」という言葉にみられるように「二つで(は)ない」という意味があるのです。

企業ですから毎年利益を出し続けて存在しなければならないのは当然なのですが、では何故存在し続けねばならないのか?昨今、企業の社会的価値が問われていますが、社会的存在としての社会貢献が企業の前提であることは言うまでもありません。
「経済的価値」と「社会的価値」は、両方をなかなか満足できないことが多いのですが、「不二」は言葉の中に宿命として持っていることになります。不二製油グループの社会貢献、社会的価値は植物性食品、特に大豆を中心とする植物たん白で世界に貢献することにあります。

勿論、財団の公益性を確保し、アカデミズムを尊重した運営に徹していく所存ですが、財団と不二製油グループの社会的価値と目的は共通しています。

財団は国民の健康と、ウェルビーイングに寄与することが第一義ですが、特にフードテックなど先進的に取り組む海外の技術を学ぶ必要があり、本年度から研究助成課題を欧州支部からも受け付けます。SDGsが世界の課題であることに応えられるよう助成課題の範囲の拡大や事務局の充実など体制を整えております。

新しい理事長には不二製油グループ本社社長の酒井幹夫が就任しております、これまで同様関係各方面の皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、益々の財団の繁栄と社会貢献を祈念してご挨拶といたします。

〈元 不二製油グループ本社株式会社 特別顧問〉

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