随想・雑感 退任にあたって~大豆の素晴らしさ~

退任にあたって~大豆の素晴らしさ~

前評議員 小林 誠

2007年から今年の5月まで9年間、財団の評議員として、財団の先生方、財団の関係者及び事務局の方に支えていただきました。紙面をお借りして改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。いろいろと大豆について良いところ、社会に貢献する場面をたくさん知ることが出来て、とても幸せでした。これが率直な感想です。大豆の様々な健康機能の研究成果は私にとって、とても新鮮でした。

不二製油は昨年10月から純粋持ち株会社制に移行し、グループ憲法を策定しました。その憲法の中で、「不二製油は、おいしさと健康で社会に貢献する」と明確に定めています。大豆でも「おいしさと健康」です。いくら健康機能があってもおいしく食べる事が出来なければ継続して食べてもらえません。その意味では、健康機能がある大豆をいかにしておいしく食べていただくかが過去からの大きな課題でもありました。その課題の解決は現在展開中の大豆ルネサンスです。USS(ウルトラ・ソイ・セパレーション:低脂肪豆乳と豆乳クリームとに分ける豆乳の分画事業)をはじめ、大豆製品の加工技術の革新があり、この革新による「まめプラス」や「ソイタリアン」の取り組みの中で「おいしさと健康」の両立がより具現化し、新たな社会貢献の領域に入って来ている現状に大きな期待を持っています。

「大豆のおいしさ」についての経験ですが、過去国内のある農業試験場でいろいろな品種の大豆のサンプルをいただき、実験室で加工して試食した時の大豆のおいしさの多様性には驚きました。品種によるおいしさの違い、同じ品種でも栽培地域によるおいしさの違い。本当に、「大豆のおいしさ」は奥が深いと思いました。

また、大豆は良く考えてみると不思議で素晴らしい豆だと思います。栄養的には油脂、良質なたん白質(アミノ酸スコア)などの豊富な栄養素を含み、飢餓の時代が長かった我々人類にとっては、他の豆よりも生存率を上げられる貴重な神様からの授かりモノだと思います。

現在の世界を見ると、アジア・アフリカ等の途上国での貧困層で大きな課題である栄養不足(カロリー・たん白質・ビタミン・鉄などの不足)の改善にも大豆の力が発揮できるでしょうし、所得水準が高くなった国々での富裕層で問題になっている糖尿病(生活習慣病)の予防にも大豆たん白の力で社会貢献できるものと信じています。この生活習慣病の予防効果については、財団の助成研究でも多くの報告を聞いています。生理機能の明確化は研究していただいた先生方の成果だと思います。

不二製油の社内においても、生活習慣病の予防という目的で、昨年度からイベント的に健康社員食堂(健康社食)として、一部の事業所の社食で「まめプラス社食」「ソイタリアン社食」を実施しました。これは、先ほど述べました大豆をおいしく利用した社食用の健康メニューを提供する取り組みでした。特に、阪南事業所では健康味噌汁として、低脂肪豆乳入り味噌汁(減塩及び大豆たん白強化)を毎日継続して提供しています。これは、不二製油として「おいしさと健康で社会貢献して行く」には、先ずは社員が健康で幸せでなくてはならないという「健康経営」としての取り組みです。もちろん、社員食堂内では、栄養改善への啓蒙活動も行う予定です。このような健康社食の取り組みを、今年から本格的に国内各事業所・国内グループ会社に、更に将来的には海外グループ会社にも展開して行く予定です。

このように素晴らしい大豆で世界の人々に社会貢献出来る当財団の意義は今後更に大きくなるものと信じています。そして今後の財団のますますの発展を祈念したいと思います。繰り返しになりますが、9年間本当に、本当にありがとうございました。

〈不二製油グループ本社株式会社取締役常務執行役員〉

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