随想・雑感

ナット、ナット、イトヒキナット~

監事 若林 正伸

 私は、不二製油株式会社の顧問をさせて頂いておりました関係から、平成9年4月4日に財団法人不二たん白質研究振興財団(以下公益財団の認定を受けた後も含めて「当財団」と略称します。)が設立された時に監事に就任しまして、此の度公益財団法人になった以後も引き続き監事を務めさせていただいております。

 当財団の監事は、公認会計士の方と弁護士という構成でやってきておりますが、まず第一に不二製油株式会社側から出ておられる運営サイドの方々が実に誠実にしっかりしていること、次に当財団の事業がたん白質に関する研究やそれに関連する研究の助成や広報事業に限られており事業そのものが明確でありましたので会計もそんなに複雑ではないこと、更に公認会計士の方が経理内容はきっちり見ておられましたことがあり、私の出番は殆どなく後をついていくだけだったように思います。

 ところが、平成18年に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が制定されたのですが、同法律には、
①監事は、理事の職務の執行を監査する。この場合において、監事は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない(99条1項)。
②監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業の報告を求め、…法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる(同条2項)。
③監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を…理事会に報告しなければならない(100条)。
④理事、監事又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、…法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(111条1項)。
と規定され、財団法人にもこれらが適用されることになりました(197条)。上記①ないし③については、公益財団法人の認定前の寄附行為にも似たような規定はありましたし、監事という役職柄からはある意味当然の職務・責任ではありますが、法律に明記されますとムムムと身構えた次第です。今般の前記法律の制定は、結構いい加減な社団法人・財団法人があることから制定されたのでしょうが、前述しましたように当財団はまさに優等生そのものですから、実質的には何ら変化はなく、上記のような趣旨での出番は全く無いものと安心しております。

 ところで、当財団が研究助成の主たるターゲットにしているのは大豆たん白ですが、大豆とくれば私は納豆がすぐ頭に浮かびます。私の生まれ故郷は長野県の篠ノ井という善光寺平にある平凡 な田舎の町でした。冬、居間に掘り炬燵を作ると、大豆を家で蒸して納豆菌をかけ藁の包みの中に入れ炬燵の角に置いて温めて納豆を作るということをしておりましたが、家の前の表通りを納豆売りの行商が、「ナット(納豆)、ナット(納豆)、イトヒキナット~(糸引き納豆)」と独特の売り声を張り上げて通ると欲しいなぁと思うわけです。というのは、売っている納豆は自家製の納豆に比べてずっと美味しいもので、なかなか兄弟も多くてしょっちゅう行商から買うという余裕もなく偶にしか口にしなかったからで、あの呼び声は今でも懐かしく思います。その当時の納豆はご存知のように結構臭いの強いものでしたが、小さい時から食べて おりましたので、納豆の臭いに対しては特に拒否反応を示すということはありませんでした。

 その後、弁護士になって大阪に来ましたが、今からもう20年以上も前にコレステロール値が高いと言われそのことを人に話したところ、納豆のねばねばは血液をさらさらにする効果があるから食べなさいと言われ(この説の真偽は不明ですが)、毎朝の食事で食べるようになりました。その当時の納豆もやはり結構それなりの臭いがしておりましたが、ここ最近はほとんど納豆の癖のある臭いはなくなって食べやすくなったことから、関西の人でも食べている人が結構増えたように思います。

 今や大豆たん白が「カラダにいい」ということは誰でも認知していますが、当財団が大豆たん白のより広範な普及・利用を目指して継続して研究助成を行ってきたことが寄与しており、その社会的貢献度も大きいものです。

〈若林正伸法律事務所長〉

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