随想・雑感

退団にあたって

前評議員 久保田 隼人

 この3月末にて、評議員を退任いたしました。退任にあたり、財団時報に何か感想を書くようにご依頼がありましたので、まず常務理事2年、評議員4年間に亘りご指導、ご協力いただきました各専門分野での先生方はじめ、ご関係の皆様に心からお礼申し上げます。

 不二たん白質研究振興財団設立の準備が行われていた平成7年に研究開発担当の専務取締役を拝命し、当時の故中西知三専務より財団設立を推進するようにと、分厚い関係資料と共に引継ぎを受けました。

 当時は既存の財団にたいする世の中の風当たりが強く、担当者と文部省に陳情に出かけましたが、新しく財団設立は認められにくい環境でした。そのような状況の中、平成8年に開催された奈良先端科学技術大学院大学創立5周年記念パーテイーに招かれた折に、文部省大臣官房審議官(高等教育局担当)高為重様が出席されておられました。

 千載一遇のチャンスと思い、櫻井洸学長様(その後当財団理事)にご紹介願うと共に、不二製油や大豆たん白質栄養研究会などのPRをしていただきました。同時に西村政太郎名誉会長にも電話いたしましたところ、早速設立に向けて強力に働きかけて下さいました。

 当時、ニ木会などで農水省の方々にお会いしましたが、財団は減少させている中でよく認可されたとの意見もありました。設立の最大の原動力はそれまで地道に努力し、積み重ねられた18年間に及ぶ研究会の実績が評価されたものと確信しております。

 私の不二製油在職43年間は、主として研究開発関連を担当させていただきましたが、企業は収益をあげることが第一で応用、開発研究が中心となり、基礎研究が遅れるのが最大の悩みでした。

 幸い不二たん白質研究振興財団が設立され、多くの最先端の先生方にお会いし、研究成果に接する機会に恵まれましたことは、不二の研究開発にたいしても大きな貢献となりました。

 森田雄平先生(当財団では選考委員、評議員)が中央研究所長時代に教えられた、分子レベルでの発想は基礎研究だけでなく、食品研究所の製品開発にも取り入れ、高品質の製品開発につながったと考えております。

 これまでの財団の成果は、ご承知のように長年の報告に纏められていますが、中でも大豆たん白質のコレステロール低下作用、ペプチド、イソフラボンなどの商品化は市場でも高く評価されております。

 大豆にはまだ解明されていない分野も多く、今後はバイオテクノロジーやナノテクノロジーと結びつき、たん白質、ペプチド、レシチンなどの微量成分の生理活性がより深く解明されていくならば、夢は無限に広がるように感じております。

 最後になりましたが、当財団の益々の発展を祈念しまして、退任の挨拶と致します。

〈元不二製油株式会社専務取締役〉

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