随想・雑感

産学融合の時代

前監事 篠原 祥哲

 昭和35年(1960年)、経理責任者が株式を公開したいので会計監査をして欲しいと事務所に来られたのが、不二製油との最初の出合いでした。それから43年間の長い長いお付合いでしたが、当財団監事の退任で責務を果たし終えました。

 現在の不二製油は成長力、収益力共に優れた立派な会社ですが、ここに至るまでの道程は決して平坦なものではありませんでした。海面スレスレの低空飛行をした時もありました。日本経済の高度成長期の中ではありましたが、搾油という競争の激しい分野から出発して、生き残り、成長していくためには、先見性と強い経営力が必要でした。

 当財団設立者で名誉理事長の西村政太郎氏は規模よりも、独自性を重視する経営を信念をもって貫かれ、高度成長の到達点であるバブル経済に巻き込まれることもなく、成熟経済のデフレの中でも成長し続ける立派な会社を残されました。

 大豆たん白食品についても、脱脂大豆の高度利用の必要性を認識し、商品としての将来性に確信を持ち、厳しいマーケットの反応にもあきらめることなく努力し続けることによって、大豆たん白食品を当社製品の大きな柱に育て上げました。この確信に基づいたたゆまない努力の一つが当財団の設立と活動援助であります。

 科学技術の進歩が産業を変革する。高いレベルの研究成果が生まれ、その活用ができれば先端性と独自性のある製品を生み出すことができる。従って、大豆たん白の優れた研究が重要だと考えて研究会を発足させ、財団を設立されました。

 いま、科学技術の革新的な進歩や思考方法の変革によって、商品のライフサイクルは短縮され、経営にスピードが要求される時代になりました。従来から、産学連携の必要性が言われていますが、技術進歩の速さと、成熟社会の需要変化の速さが重なって、大学などでの研究成果と社会的活用の距離が極めて近くなりつつあります。産学の連携より融合の時代だとも言われています。私もNPOおおさか大学起業支援機構を設立して大学発ベンチャーの支援を行っていますが、産学の融合を実感しています。

 この様な時代にあって、当財団の社会的役割は益々重要になりつつあります。西村政太郎氏が先見の明をもって設立された当財団が、不二製油が安井吉二会長(当財団理事長)や浅原和人社長に引き継がれて発展を続けているように、更に成果を挙げ社会に貢献されることを期待しています。

〈公認会計士〉

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