随想・雑感

財団設立を祝って

理事 藤巻 正生

 財団法人不二たん白質研究振興財団は大豆たん白質研究会の発展的解消によって設立されたものである。不二製油株式会社内に置かれたその研究会も当初は、大豆たん白質栄養研究会として1979年6月に発足したものであり、本年(1998年)まで19年間にわたって大豆たん白質の研究振興を目的として研究助成455件、金額にして約3億640万円にものぼる輝かしい歴史を有している。

このような研究助成を中心とする社会貢献の活動は、その事業の永続性、独立性あるいは公益性を期図して、広くたん白質に関する研究助成などを継続的に実施していくためには、企業から財団設立への移行というご意志がかなり当初から代表者の西村政太郎氏(現不二製油株式会社相談役名誉会長)のご胸中にあられたことは容易に推察されるところである。

このようにして、西村政太郎氏を設立代表者として、安井吉二代表取締役社長をはじめ不二製油株式会社の関係の方々のご熱意、ご努力によって、当時一般に困難視されていた財団設立が文部大臣より昨平成9年4月4日許可されたことについて、これまでの長い間大豆たん白質研究奨励を悲願とされてきた西村政太郎理事長にお慶び申し上げたい。

今手許にある研究会の活動を示す大豆たん白質栄養研究会会誌第1巻第1号(1980年)を開くと、研究会委員長であられた井上五郎先生(徳島大学医学部教授:当時)“会誌の発刊に際して”という巻頭文がある。「わが国における大豆たん白質栄養に関する基礎的ならびに応用的研究の進展を図ることを目的とし、研究会を組織することにした」とあり、研究テーマとして(I)栄養学的評価、(II)脂質代謝異常と大豆たん白質、(III)Elemental dietへの応用、(IV)食品学的基礎研究、(V)その他を取り上げておられる。第1回研究発表会が1980年8月11日、不二製油株式会社本社で行われ、その報告から実際に食品を用いての効果、食生活の実際に即した面からの検討が期待されているし、一方、分離大豆たん白質と血中コレステロール濃度との関係についての研究あるいは食品学的基礎研究など、いずれも将来の新しい展開が期待される貴重な報告があったと結ばれている。

これを拝見しても、会の当初より今日に至るまで会の趣旨が着実に生々発展してきていることは明らかである。来る2000年10月には第3回国際大豆加工利用会議がわが国のつくば国際会議場で開催されるとのことである。本財団の活動がこの国際会議の場でも大いに貢献することが期待されよう。

ここに財団設立を心からお祝い申し上げ、それにつけても長い間の西村政太郎理事長のご心労に心から敬意と感謝の意を表しますとともに学術研究の面から本財団の基礎を築かれた井上五郎先生のありし日のお元気なお姿を追慕して止まない次第である。

〈東京大学名誉教授〉

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